コートジボワールのドログバ、セネガルのマネ、ナイジェリアのオコチャ、ケニアのワニャマ。

これらのアフリカの選手に共通しているのは“スーパースター”という肩書だけではない。

彼らには共通するもう一つのポイントがある。

それは、

「若かりし頃にスカウトされている」ということ。

最初のステップとして、欧州4大リーグへの移籍が叶わなかったとしても周辺のヨーロッパのクラブでプレーすることでその後の大きなステップアップに成功している。

そして、忘れてはならない事。

それは、選手の成功は勿論であるが、最初に獲得したクラブは移籍により多額の利益を生みだしているということだ。

ヨーロッパにおいてはこの“ビジネスモデル”はほぼ完成されているが、日本をはじめとしたアジア地域ではその存在は皆無に近い。

勿論、近年騒がれているタイやインドネシアの選手を獲得することでアジア地域への一定のマーケティングにはつながるだろうが、その選手たちが“欧州”へ移籍できる可能性はほぼゼロ。

一方で、かつてガンバ大阪などで活躍したエムボマ選手などはガンバ大阪を経たのちにセリエAの強豪パルマなどで大活躍を遂げた。その際にガンバ大阪が獲得した“移籍金”も莫大であったという。


(ガンバ大阪で活躍したカメルーン代表のエムボマ)

客観的に見て、将来性のある、そして能力的にも申し分のないアフリカ人選手がJリーグのチームに在籍している場合はかなり稀である。

アフリカの選手を擁すれば、チームへの貢献もさることながら中国やヨーロッパからのオファーも届きやすい。

にもかかわらず、なぜJリーグのチームはアフリカ選手の獲得ができないのか。

今回はその原因について検証していく。


(浦和レッズで活躍したブルキナファソ代表のサヌ)




Jクラブがアフリカ人選手の獲得に2の足を踏む3つ理由とは!?

著者のアフリカでの経験を基に、Jクラブがアフリカ人選手の獲得に2の足を踏む理由には3つの理由があると考える。

それは、

1. 国際移籍証明書が期限内に処理できない可能性が高い!

2. ワークパーミット(労働許可証)が取れない可能性が高い!

3. アフリカとのコネがない!

である。

まず1つ目の“国際移籍証明書が期限内に処理できない可能性が高い!”について。

どのリーグにも移籍期間というものが設けられている。その期間内にクラブ同士で選手をスムーズに移籍させるために様々な手続きを行う。

主に必要な書類は、

✔クラブからの在籍証明書及び推薦書
✔ポリスクリアランス(犯罪歴証明書)
✔国際移籍証明書

の3つ。

特に難航するのが、3つ目の“国際移籍証明書”である。実は、著者もジンバブエでプレーした際にこの“国際移籍証明書”を取得した。しかし、取得までになんと半年かかり、前記リーグを棒に振ってしまった経験がある。

それでは、なぜそのような事態が起こるのか?

それは、国際移籍証明書とは選手保有チームが自国のサッカー協会に申請し、そのサッカー協会から日本のサッカー協会に要請が行くという流れになる。

ここで最も時間がかかるのがアフリカのサッカー協会を通す場面。汚職が蔓延しているアフリカのサッカー協会においては1つの印鑑をもらうのに10万円以上かかることも珍しくない。

また、その手続きも2日に1回は催促しなければ忘れられてしまうという現状がある。

その他の書類は容易に手に入るであろう。しかし、ポリスクリアランス(犯罪歴証明書)を取得した際に、その選手に犯罪歴があった場合にはJリーグへの移籍ができなくなる。

続いて2つ目の“ワークパーミット(労働許可証)が取れない可能性が高い!”について。

ご存知の通り、日本は世界的にも大変ワークパーミットを取ることが難しい。
サッカー選手として来日する場合には“興行”という名目で1年ないしは3年の在留資格を得ることができる。
しかし、ここで問題になるのが選手の“実績”と“実力”である。
基本的に、外国人を獲得するということは自国の選手の活躍の場が1つ失われるということを意味する。故に、獲得する選手が日本に何か“メリット”を残せるような選手でなければならない。例えば“技術移転”がその最たる例であり、その選手から日本人選手が多くを学べるのであれば問題ない。
それをカバーするために必要となるのが、「代表歴」、「国際大会出場歴」などである。
ここをカバーできるかどうかは実際に申請して見なければわからない場合が多い。

最後に3つ目の“アフリカとのコネがない!”について。
実際、アフリカにすんでみるとJリーグの知名度は極めて低い。サッカーベットに興じている若者がかろうじて「ガンバ大阪」などの単語を知っている程度だ。必然的にアジアのサッカーの希望移籍先は爆買いで話題の中国になる。

また、すでにヨーロッパの多くのチームがアフリカ現地のチームと提携したり、独自のアカデミーを作ったりとすでに有望な若手を囲っているという現実もある。

日本にまで選手の有力な情報が来ないのも当然の流れとなる。Jリーグチームにはいつまでも待つだけでなく、積極的に動いて情報をキャッチする動きが求められている。

1チームくらい“アフリカの若手”を獲得して育てて売却するというヨーロッパ式のクラブシームが存在してもいい気がする。いい意味で“他との差別化”につながる。
なんとももったいない話である。

最後に・・・

現代サッカーにおけるアフリカ選手の活躍は周知のとおり。
今後ますますその需要は高まるだろう。
著者はアフリカで生活しながら日本の“待つ姿勢”に少々“不安”を抱いている。
是非、アフリカまで足を延ばし、視察することを強くお勧めする。