こんにちは。編集長です(https://twitter.com/YAMATO22224

元日本代表の本田圭佑によるウガンダ1部ブライトスターズの買収や実業家加藤氏によるナイジェリアのクラブ買収など近年“アフリカにおけるサッカークラブ買収”が過熱しています。

その最大の目的は、保有している選手を海外に移籍させることで得ることができる“莫大な移籍金”を得ることであると言えます。

もしかしたらこの文章を読んでいるあなたもアフリカのクラブを買収して莫大な資産を手にしようと考えている多くの事業家のうちの1人かもしれません。

しかし、不確定要素があまりにも多いアフリカという土地柄故に、買収前に抱いていたイメージ通りに事が進まずに日々現地では多くの格闘が行われているという事実を知る人はほとんどいません。

意気揚々と買収したはいいものの、買収した後に悪戦苦闘しているクラブが多い中で“大成功”と呼べるマネジメント力を披露しているクラブがあります。

それが、中古自動車の輸出事業を展開している日系企業ビィ・フォアードがマラウイで買収したクラブビィ・フォアード ワンダラーズFCです。

ビィ・フォアード ワンダラーズFCは2105年に日系プロチームとして初めてのリーグ制覇を果たすなどサッカー面でも大きな成果を残していますが、見過ごすことができないスキルが類まれなマネジメント力です。

今回は、そんなビィ・フォアード ワンダラーズFCのマネジメント力からアフリカにおけるスポーツビジネス成功の秘訣について考察していきたいと思います。

そもそもビィ・フォアード ワンダラーズFCとは?

マラウイ初の日系プロサッカーチームであるビィ・フォアード ワンダラーズFCは、マラウイ共和国の南部の中心都市ブランタイヤを本拠地としており、マラウイ・プレミアディビジョン(TMNスーパーリーグ)に加盟しています。
2014年シーズンまでは”マイティー・ワンダラーズFC”の名称で活動していましたが、2015年シーズンよりビィ・フォアード社が単独スポンサーとなりました。ビィ・フォアード社が実質的に運営することになったため、チーム名をビィ・フォアード ワンダラーズに変更しました。

ファンの数は国内2位を誇り、2017年シーズンにはアフリカの日系チームとして初めて国内リーグ優勝を果たしました。

マラウイ初のJリーガーを輩出

ビィ・フォアード ワンダラーズFCは同チームに所属するジャブラニ・リンジェ選手が2018シーズンよりマラウイ初のJリーガーとしてY.S.C.C.横浜への移籍を成功させるなどその手腕には大きな注目が集まっています。

しかし、ビィ・フォアード ワンダラーズFCの本当の凄さはこれでないんです…


ビィ・フォアード ワンダラーズFCの本当の凄さとは?

編集長もアフリカで長らく生活をしており、スポーツビジネスに関わる多くの方とお話させて頂きました。

そんな、彼らが共通して抱えていた課題。

それは、

“スポンサーを獲得することが難しい!”

というものでした。

確かに、日本人がアフリカのクラブを買収した場合には現地の人は“お金がきた”という目で見ており、現地の企業へスポンサーを依頼しても首を縦に振ることはありません。これは、デビ婦人が街の小さな駄菓子屋にスポンサーを依頼している光景くらい異常な光景として現地では映るのです。

故に、選択肢は日本企業のスポンサーを獲得するというものですが、はっきり言ってこれは非常にハードルが高いと言えます。

その最大の理由は、

“日本企業にメリットがない!”

と言うとことなのです。

これは、費用対効果を数値化できない上に、発展途上国のアフリカの誰も知らないチームのスポンサーになる理由がないことが背景にあり、多くのアフリカスポーツビジネス関係者が頭を悩ませているところですが、ビィ・フォアード ワンダラーズFCは2017年には日本企業7社、そして2018年にはなんと日本企業21社とのスポンサー契約を獲得しているのです。

これは、アフリカに長年住んでいる編集長からすると本当の“アフリカの奇跡”だと言えるほど凄いことなのです(笑)。

ビィ・フォアード ワンダラーズFCから学ぶスポンサー獲得術

日本企業側には一見なんのメリットもないアフリカのローカルチームへのスポンサードをどのように締結させたのでしょうか?

彼らが企業に返しているもの。

それは、多くのアフリカ事業が最前線においてくるCSRではなく、

“日本企業のマラウイ進出サポート実施!”

といったコンサルタント業務をスポンサーの見返りとして設定しているのです。

それだけではありません。

アフリカにおいての訴求ポイントは、

✔サッカーの持つ感動やドラマ性など明るく爽やかなイメージを日本企業のイメージとオーバーラップさせて、情報を発信できる!
✔ワンダラーズFCの様々な活動の場を通して、商品の訴求だけではなく、企業名の認知や日本企業のイメージ向上など、アフリカでPRを行うことができる!
✔ワンダラーズFCの選手は、マラウイの子供たちの夢であり目標となっています。パートナー企業として選手の活躍の場を用意することは、将来の購買層となる子供たちへの広告効果も期待できる!

一方日本においては、

✔アフリカ進出に関するコンサルタント業務!
✔ワンダラーズFCはその話題性から活動が注目され始めているため、スポーツ振興による日本とアフリカのつながりや、新興国の子供たちをサポートする社会的活動というメセナ的要素を企業のマーケティング・プランに取り込むことで、企業イメージを高める効果!(CSR)

などを訴求ポイントとしているのです。

2018年スポンサー企業一覧

ビィ・フォアード ワンダラーズFCの2018年シーズンのオフィシャルスポンサーである日本企業21社は以下の通りになります。

株式会社オートグランド、株式会社商船三井、Japan Forwarding Agency株式会社、シンク・ロジスティクス株式会社、株式会社大勝、株式会社グローバライン、京濱港運株式会社、Auto terminal Japan株式会社、JI WORLD JAPAN株式会社、日本郵船株式会社、サンフェニックス株式会社、株式会社優和シッピング、カナロアシッピング株式会社、EAA株式会社、株式会社シー・リンク、株式会社AUTOMOTIVE TECHNOLOGIES、株式会社インターオーシャンシッピングコーポレーション、東西海運株式会社、株式会社山中保険事務所、三井住友海上火災保険株式会社、株式会社ブックルックチーム

改めて、本当にすごいです。

スポンサー内容

スポンサーの内容としては、Jクラブと同じようにユニホームや練習着に入れるロゴと同様にWebサイトのバナー広告、冠試合、カップ戦スポンサー、オフィシャルグッズスポンサーなど幅広く用意しているところも特徴だと言えます。

最後に

アフリカスポーツビジネスにおいてスポンサーを獲得することは至難の業だと言えます。

しかし、今回ご紹介したビィ・フォアード ワンダラーズFCのようにアフリカで大きくビジネスを展開させているノウハウを提供することでスポンサーにメリットを提供するという新たな方法は1つヒントになり得ると感じました。

いずれにせよ、スポンサーになってくれる企業に対するメリットを徹底的に考え抜いて提案する姿勢を企業は見ているのかもしれませんね。

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アフリカサッカージャーナルにおいても編集長の豊富なクラブ間、個人間の“人脈”を活かして有望な選手やクラブ間提携のお手伝いをさせていただくことが可能です!
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【AFRICA-SOCCER-JOURNAL公式スポンサー】
ライティング事務所PORKSTAR


【編集長が代表を務める国際NGO】
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